
今回のテーマは「行動経済学」だよ!
いつも損な選び方をしてあとで激しく後悔していませんか?
実はそれあなたのせいではなく脳の罠なんです。
今回はついやってしまうもったいない選択の理由と対策をお伝えします。
それでは始めましょう。
行動経済学とは?

まずは、行動経済学という言葉についてお話しします。
難しく聞こえるかもしれませんが、安心してください。
これは、人間の心と、お金の損得を組み合わせた、とても身近な学問です。
例えば、私は先日、近所にある大好きなもつ焼き屋さんが、店主の高齢化で、急に店を閉めると知りました。
美味しくて居心地が良く、店主も優しい、最高のお店でした。
でも、私はいつでも行けると思って、最近は全く通っていなかったんです。
いざ閉店と聞いて、もっと行っておけばよかったと、深く後悔しました。
大切な居場所に行く機会を先延ばしにするという、完全に損な選択をしてしまったのです。
このように、頭では大切だと分かっているのに、つい後回しにして後悔する理由を解き明かすのが、行動経済学です。
実は、私がお店に行かなかったのには、脳の仕組みが深く関わっていました。
それは一体、どんな仕掛けなのでしょうか?
魔法の仕掛け「ナッジ」

ここで知っておきたいのが、ナッジという魔法の仕掛けです。
ナッジとは、ひじで軽くツンツンと突く、という意味の言葉から来ています。
自分に強制したり罰を与えたりするのではなく、自然と良い選択をしたくなるように、そっと導くテクニックのことです。
私がお店に行きたいと思ったとき、仕事帰りに絶対に行かなきゃダメだと、自分に厳しく強制していたら、疲れて足が遠のいてしまいます。
それよりも、帰宅ルートを少し変えて、あのお店の前を通って帰るようにするという、自然と寄りたくなる道筋を用意してあげることが、ナッジの考え方です。
北風と太陽の童話と同じですね。
ではなぜ、私はお店が閉まると知った途端に、あんなにも激しく後悔したのでしょうか?
そこには、人間の持つある強烈な心理が隠されていました。
① 手放したくない心理

私が激しく後悔した理由の一つ目は、保有効果と呼ばれる心理です。
人間は、一度自分のものになったものを手放すとき、とても惜しいと感じてしまいます。
あの居心地の良いお店は、私にとって、いつでも帰れる自分の居場所のようなものでした。
普段はそこにあるのが当たり前すぎて、価値を忘れてしまっています。
しかし、閉店という形で永遠に失うと決まった途端に、自分のものでなくなるという強烈な喪失感に襲われ、突然その価値が跳ね上がって見えたのです。
何年も着ていない古い服を、捨てる直前になって、急にもったいなく感じるのと同じですね。
この心理がある限り、失ってからでしか、本当の価値に気づくことができません。
さらに、私が日常的にお店に行かなかったのには、もう一つ厄介な心理が働いていました。
② 損をしたくない心理

もう一つの厄介な心理が、損失回避です。
人間は、得をすることよりも、損をしないことを極端に優先する生き物です。
例えば、道で一万円を拾う喜びよりも、自分のお財布から一万円を落として失った悲しみの方が、はるかに強く心に残りますよね。
私が仕事帰りにあのお店に寄らなかったとき、頭の中には、美味しいものを食べて癒されるというプラスの得よりも、外食をしてお金が減ったらどうしようとか、疲れているのに寄り道して時間を損したらどうしようという、マイナスの損への恐怖が、大きく広がっていたのです。
目先の小さな損を極度に恐れるあまり、最高の癒しを手に入れる機会を諦めるという、もったいない選択をしてしまいます。
この心の壁を取り除くには、たまの贅沢は決して無駄遣いではないよと、自分を優しく安心させてあげることが大切でした。
一方で、私自身にも致命的な勘違いがありました。
自分の「努力」への愛着

私が寄り道をしなかった最大の原因は、自分自身の努力を高く評価しすぎるという心理でした。
人間は、自分が時間や労力をかけて苦労したものに対して、実際以上に高い価値があると思い込んでしまいます。
私は、疲れていてもまっすぐ家に帰り、自炊を頑張っている自分を、節約していてとても偉いと、勝手に高く評価していました。
だからこそ、外食に頼ることはサボりであり、自分の日々の努力を台無しにする行為だと、思い込んでいたのです。
自分が勝手に作り上げた真面目なルールに縛られて、プロの温かい料理を楽しむ喜びを放棄していただなんて、本当に悲しいですよね。
自分の努力に執着して、客観的な判断ができなくなっていた自分に、反省するばかりです。
さて、いざ外食をしようと思ったときにも、私はさらに自分を苦しめる大きな罠にはまっていました。
選択肢が多すぎる悲劇

その罠とは、どのお店に行くかを、スマートフォンのグルメサイトで探しすぎたことです。
これも決定麻痺という、人間の心理の罠にはまっていました。
よかれと思って、もっと美味しくて安いお店はないかとか、もっと評価の高いお店はないかと、画面の中で、何十種類もの情報の中から最高の一つを探し求めていました。
しかし、目の前に選択肢が多すぎると、人間の脳は情報に押しつぶされてしまい、結果的に何も選べなくなってしまうのです。
初めて入ったレストランでメニューの数が多すぎると、なかなか注文を決められないのと同じですね。
選択肢が多いほど、人は行動を先送りし、間違った選択をしやすくなり、終わった後の満足度も下がってしまいます。
私も情報が多すぎて完全にパニックになり、結局コンビニで適当に済ませてしまいました。
最初からあのお店に行くと、一つに絞るべきでした。
さらに、情報を見るタイミングにも大きな問題があったのです。
決断疲れ

実は、私がスマートフォンでお店を探していたのは、一日の仕事が終わった夜遅い時間でした。
ここにも決断疲れという落とし穴がありました。
私たちの脳は、朝起きてから夜眠るまで、今日何を着るかとか、どんな手順で仕事をするかといった、数え切れないほどの小さな決断を繰り返しています。
そして、決断をするたびに脳のエネルギーは削られ、夜にはすっかり疲れ果ててしまいます。
疲れた脳では、たくさんの情報の中から行くべきお店を冷静に選ぶ力が、全く残っていません。
だからこそ、考えること自体が面倒になり、あの大好きなお店ののれんをくぐると言う決断すらできなくなってしまったのです。
大切な決断をしたり、お店を選んだりするのは、脳のエネルギーが残っている日の午前中にして、夜は何も考えずにそこへ向かうべきでした。
そして、私の後回しを完全に決定づけたのは、ある思い込みのせいでもありました。
思い出しやすい記憶の罠

私が自分に対して、あのお店はいつでもそこにある、と思い込んでしまったのには理由があります。
それは、思い出しやすい記憶の罠にはまっていたからです。
テレビや雑誌では、百年続く老舗の名店や、いつまでも変わらない街並みといった、美しいニュースばかりが流れてきます。
記憶が鮮明な出来事ほど、人間はそれが世の中の当たり前の基準だと勘違いしてしまいます。
たまたま見た永遠に続くお店のイメージと重ね合わせて、あの店主のおじちゃんも、ずっと元気でお店を開け続けてくれると、勝手に思い込んで安心していたのです。
冷静に事実を振り返れば、誰だって年をとるし、状況は変わるはずなのに、勝手な思い込みで貴重な時間を見失っていました。
では、こんな後悔をしないために、今日という日を大切にするには、本当はどうすればよかったのでしょうか。
やる気を引き出す「2つの力」

自分の心を上手に動かすには、外からのやる気と、内からのやる気を上手に組み合わせる必要があります。
外からのやる気とは、ポイントカードが貯まるとか、割引クーポンがあるから行くといった、外部からのメリットです。
私は無意識に、お得だから行くという理由ばかりを探していました。
しかし、本当に自分の心を動かし、お店に向かわせるのは、内からのやる気です。
純粋に、あのおじちゃんの笑顔が見たいとか、あの空間でホッとしたいという、心からの願いのことですね。
例えば、今日一日頑張った自分を、あの温かい雰囲気で最高に癒してあげよう、という想いを思い出すことです。
そうすれば、目先の損得なんて関係なく、自分のためにまっすぐお店に向かえたはずです。
お得さという外側の理由ではなく、自分の心に火をつける純粋な目的を見つけることが大切でした。
さらに、その目的の捉え方にも、ちょっとしたコツがあります。
距離感で変わる考え方

そのコツは、自分との距離感を意識することです。
人間は、心理的な距離が遠いか近いかで、物事の捉え方が全く変わります。
これを解釈レベル理論と言います。
例えば、来年の旅行と言われると、景色が綺麗だろうなとワクワクしますが、明日の旅行と言われると、荷造りはどうしようと、現実的な心配ばかりしてしまいますよね。
私のお店の通い方でも、全く同じでした。
来月仕事が落ち着いたら行こう、という遠い未来の予定にしていると、頭の中のモヤモヤしたイメージだけで終わってしまい、結局足を運びません。
それよりも、今日の帰りに一杯だけ飲んで帰ろう、という一番近い具体的な行動に目を向けるべきでした。
遠くの未来に期待するのではなく、すぐ目の前の自分の小さな行動に集中することで、初めて現実が動き出します。
そして最後に、最も大切な、心を動かすための順番についてお話ししましょう。
心を動かす「伝える順番」

自分の心を根本から動かして行動に移すには、考える順番を間違えてはいけません。
私は最初、何を食べようかとか、いくらくらいかかろうかという、方法や内容ばかりを考えていました。
しかしこれではすぐに面倒になり、自分自身が迷子になってしまいます。
心がブレないようにするには、なぜそれをやるのかという理由や想いからスタートすることが、最強の法則です。
なぜ私は、あのお店に行きたいのか。
それは、一日の終わりに温かい言葉を交わして、自分を大切に扱ってあげたいからです。
その想いを最初に再確認していれば、疲れているからと後回しにすることはなかったはずです。
なぜやるのか、どうやるのか、何をやるのか。
この順番で自分に問いかけるだけで、気持ちは劇的に変わります。
何か大切なことを後回しにしそうになったときは、この順番を絶対に忘れないでください。
【おすすめ本】世界最前線の研究でわかる! スゴい! 行動経済学
本の概要
損をしたくない、なぜか買ってしまう、周りに合わせてしまう。
そんな経験は、あなたの意志が弱いのではありません。
人間なら誰もが持つ、ごく自然な心の働きです。
この本は、そうした日常の不思議な行動を「行動経済学」という視点から、実例を交えてやさしく教えてくれます。
本の口コミ

現役の保険営業マンです。医療保険には入るべきでしょうか?こんな相談を受けることもある中、もとを取れる方はかなり少ないように思います。でもテレビをつければ、だれでも入れます保険のCMを見ない日がないほど、人気を博しています。なぜなんだろう?この本を読んで、その答えが少しわかったように思います。人はどんなに合理的に考えても、最後は非合理的に決断することもある不完全な生き物だということを。そんな事例がたくさん載っていて、楽しく、そして納得しながら読ませていただきました。日々の営業に役立てます!

仕事の都合で行動経済学を学びたくて購入しました。感想としては初心者でも読みやすく、わかりやすい本です。

心理とお金の考え方を一緒に学べる「行動経済学」の入門書で、実際の身近な例をもとに説明されていてとても読みやすかったなぁ。人は知らないうちに、理屈では説明できない行動をしてしまうことがあるけれど、その理由を丁寧に解き明かしてくれる内容だったなぁ。「確かにこういうことあるなぁ」と思える場面がたくさんあって、それをきちんと説明してくれるのが面白い一冊だったなぁ。
本日のまとめ

今日のおさらいです。
人間は得よりも損を嫌い、選択肢が多すぎると迷って行動できなくなります。
そして大切な決断は、なぜやるのかという想いからスタートしましょう。
頭では分かっていても、私のエピソードのように、つい後回しにして大切なものを失ってしまうのが人間です。
これまで後悔することがあったとしても、それは脳の仕組みのせいで、できなくて当たり前だったんです。
ご自身を責める必要は全くありません。
今日、今すぐできる極めて簡単なワンアクションとして、あなたがずっと後回しにしている大切なことや、行きたかった場所を、手元の紙に一つだけ書き出してみてください。
それだけで、明日からの選択がもっと素晴らしいものに変わります。
これからも役立つ知識を世界一わかりやすく翻訳して、お届けしていきます。
最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。
