
今回のテーマは「二宮尊徳の経営哲学」だよ!
突然ですが二宮尊徳と聞いてどんなイメージを持ちますか。
おそらく多くの人が小学校の校庭にあった薪を背負って本を読んでいる銅像を思い浮かべるのではないでしょうか。
勤勉な努力家というイメージはその通りなのですが、実は彼は江戸時代後期に荒廃した600以上の村々を立て直した日本最強の経営コンサルタントであり実践的な哲学者でもありました。
現代の私たちは先行きが見えない不安な時代を生きています。
経済的な閉塞感や心の荒廃を感じることも少なくありません。
そんな今だからこそきれいごとだけではない、尊徳の泥臭くも力強い哲学が私たちの心に深く刺さるのです。
本日は単なる道徳の授業ではなく明日からの仕事や生き方を変えるための戦略としての二宮尊徳の教え至誠と実行について深掘りしていきたいと思います。
逆境 (The Mindset)

まず尊徳の人生のスタート地点についてお話ししましょう。
これが現代で言うところのハードモードなんてレベルではありません。
幼くして両親を亡くし洪水で家も田畑もすべて流されるという絶望的な状況から彼の人生は始まりました。
今の時代なら親ガチャに外れたとか環境が悪いと言って諦めてしまっても誰も責めないような状況です。
しかし尊徳は違いました。
彼は自分が貧しいことを憐れまれることを良しとしなかったのです。
むしろ自分に欠けているものがあるならそれを嘆くのではなく、他の働きで補えばいいと考えました。
これこそが最強のマインドセットです。
私たちはつい足りないリソースや恵まれない環境を言い訳にしてしまいがちですが、尊徳は逆境こそが自分の力を試す機会であり、新しい工夫を生み出す源泉だと捉えていたのです。
積小為大

では具体的にどうやってその逆境を跳ね返したのでしょうか。
魔法を使ったわけではありません。
彼が徹底したのは積小為大、つまり小さなことを積み重ねて大きなことを成すという物理法則にも似た真理でした。
現代の私たちはすぐに結果を求めがちです。
SNSで成功者の華やかな一面を見ては自分も一発逆転を狙いたいと焦ってしまいます。
しかし尊徳は言います。
大事を成し遂げようと思うならまず小事を務めよと。
例えば荒れ果てた土地を開墾するのにいきなり広大な農地は作れません。
今日の一鍬明日の一株その地味で退屈な作業の繰り返しだけが数年後の豊かな実りを約束するのです。
できない理由を探して嘆く前に行いやすい目の前の小さなことから始める。
それが凡人と賢者を分ける唯一の違いなのかもしれません。
至誠と実行 (弁舌で草木は茂らない)

さてここで少し耳の痛い話をしなければなりません。
皆さんの周りにもいませんか。
会議室で立派なプランや批判ばかり口にするけれど自分では決して汗をかかない人。
尊徳はそうした姿勢を厳しく戒めました。
弁舌で草木は茂らないという言葉の通り、どれだけ高尚な議論をしてもそれだけでは現実の畑に作物は実らないのです。
才知や弁舌はあくまで道具に過ぎません。
世界を変えるのは泥にまみれて働く実行力とそこに込められた嘘偽りのない誠実な心、つまり至誠だけです。
現代社会は情報があふれ知識を持っていることの価値が相対的に下がっています。
知っているだけでは意味がない。
その知識を使って誰かのために汗をかき、行動に移せるかどうかが問われているのです。
一円観

ここからは少し視座の高い哲学の話をしましょう。
一円観という考え方です。
私たちは物事を善と悪とか苦しみと楽しみといった具合に二項対立で捉えがちです。
あいつは敵でこっちは味方だとか仕事は苦役で遊びは快楽だとかそうやって世界を分断して見てしまいます。
しかし尊徳の視点は違いました。
彼はそれらすべてが一つの円の中にある要素であり互いに影響し合いながら世界を形作っていると考えたのです。
対立するのではなく調和させる。
それぞれの存在には固有の価値つまり徳があるのだと認めそれを活かす道を探る。
これは現代で言うダイバーシティやインクルージョンの先駆けとも言える思想です。
分断が進む今の社会においてこの一円観という調和の視点は私たちが最も必要としている羅針盤ではないでしょうか。
道徳と経済 (UNION)

そして報徳思想の中で最も有名でかつ最も現代的なテーマがこれです。
道徳と経済の一元化。
尊徳は言いました。
道徳なき経済は罪悪であり経済なき道徳は戯言であると。
これは強烈なパンチラインですよね。
利益だけを追求して不正を働いたり環境を破壊したりする企業は罪悪そのものです。
一方でどれだけ崇高な理念を掲げていても利益を出して継続する仕組みがなければそれはただの世迷い言に終わってしまいます。
サステナビリティやCSV経営という言葉が流行る200年も前に尊徳はこの本質を見抜いていました。
稼ぐことは悪いことではない。
ただしその稼ぎ方が人としての道に背いていないか、そしてその利益が社会に還元されているか。
このバランスではなく融合を目指すことこそが真の豊かさへの道なのです。
自立と自尊 (荒地は荒地の力で開く)

次にご紹介するのは支援やマネジメントの本質を突いた言葉です。
荒地は荒地の力で開く。
尊徳が村の復興を任されたとき彼は安易に藩からのお金を配ることはしませんでした。
なぜなら外からの恵みはその場しのぎにはなっても人々の依存心を生み自尊心を奪ってしまうからです。
これって現代の職場や教育現場でも同じことが言えませんか?
良かれと思って手取り足取り教えすぎたり安易に答えを与えすぎたりすると相手は自分で考える力を失ってしまいます。
尊徳が何よりも大切にしたのは人々のやる気に火をつけることでした。
自分たちの力で立ち上がれるんだという自立心こそがどんな補助金よりも価値のある資本なのです。
厳しいようですがこれこそが本当の愛のある指導だと言えるでしょう。
報恩と継承 (Legacy & Duty)

尊徳の視点は現在だけにとどまりません。
過去から未来へと続く時間の流れの中に自分たちの存在を位置づけていました。
私たちが今こうして豊かな暮らしを享受できているのは間違いなく先祖たちが汗水流して荒地を開墾し社会を築いてくれたおかげです。
私たちはその過去からの遺産を相続して生きているわけです。
だとしたら私たちには義務があります。
それは受け取ったバトンをそのまま渡すのではなくより良い状態に磨き上げて次の世代へと手渡すことです。
今さえよければいい自分さえ儲かればいいという考え方はこの歴史の連続性への冒涜です。
100年後の子供たちが私たちの時代を振り返ったときによくやってくれたと感謝してくれるようなそんな生き方をしていきたいものです。
【おすすめ本】教養として知っておきたい二宮尊徳 日本的成功哲学の本質は何か
本の概要
あなたは人生のどこかで「もっと前向きに、もっと賢く生きたい」と思ったことはありませんか。
実は渋沢栄一、松下幸之助をはじめ、日本を代表する成功者たちが密かに学んでいた「ある人物」の哲学があります。
それが、600もの農村を再建し、困窮した人々に知恵とお金を与えて自立させた二宮尊徳
彼は単なる勤勉の象徴ではなく、ポジティブ思考と合理性を兼ね備えた「実践の天才」だったのです。
この一冊を手に取れば、あなたの日常に眠っている可能性が、まるで薪に火がつくように燃え上がり始めるでしょう。
本の口コミ

この偉人を知ることは、日本人として必ずプラスになります。

久しぶりにインパクトがある本でした。心に響きました。
まとめ

今回は二宮尊徳の哲学についてお話ししてきましたが最後に一つの結論をお伝えして締めくくりたいと思います。
それはすべての改革は心を開墾することから始まるということです。
尊徳は言いました。
わが道は人の心という田畑を開墾することなりと。
荒れ果てた土地を耕す前にまず荒んでしまった私たちの心を耕さなければなりません。
積小為大で小さな努力を積み重ね、至誠と実行で信頼を築き、一円観で世界を広く捉える。
そうやって自分の内なる土壌を豊かにしていくことができれば目の前の現実世界にある荒地を開くことなど決して難しくはないのです。
まずは今日できる小さな一歩から自分の心の開墾を始めてみませんか。
