
今回のテーマは「中村哲さん」だよ!
医師の中村哲さんの言葉から、現代を生きるヒントを学んでいきましょう。
中村さんは、パキスタンやアフガニスタンで、医療活動や用水路の建設に命を捧げた日本人医師です。
彼は、武器を持つことよりも、荒れた土地に水を引くことで、人々の暮らしと命を守ろうとしました。
そんな、現場で泥まみれになって働いた彼が残した言葉には、今の私たちが抱える、孤独や不安を乗り越えるための、太くて強い思考法が詰まっています。
ちょっと生きづらいな、と感じているあなたにこそ、聞いてほしい内容です。
ぜひ、最後までお付き合いください。
一人で成り立つ自分はない

最近、自分のことばかり考えてしまって、苦しくなることはありませんか?
書店に行くと、自分探し、とか、個の時代、なんて言葉が並んでいますが、中村さんはこう言います。
一人で成り立つ自分はない、自分を見つめるだけの人間は滅ぶ、と。
ドキッとする言葉ですよね。
私たちはつい、自分の内面ばかりを掘り下げて、本当の自分はどこにいるんだろう、と悩みます。
でも、自分のことばかり見つめていると、視野が狭くなって、悩みはどんどん深くなってしまいます。
まるで、鏡に映った自分だけを見て、世界を知ろうとしているようなものです。
それは、精神的に行き詰まってしまう原因になると、中村さんは警鐘を鳴らしているんです。
他者との関係

では、どうすればいいのでしょうか。
それは、視線を自分の内側から、外側へと向けることです。
自分という存在は、他者との関わりがあって初めて成立するんです。
たとえば、職場の同僚、地域の集まり、あるいは趣味のサークル仲間など。
時には人間関係が煩わしく感じることもあるでしょう。
でも、誰かの役に立ったり、誰かに助けられたりする中でしか、自分の役割や居場所は見つからないんです。
孤独を感じるときこそ、部屋に閉じこもって自分を見つめるのではなく、一歩外に出て、誰かのために何ができるかを考えてみる。
それが、結果として自分自身を救うことになるんです。
苦悩からの再生

長い人生、仕事での大きな失敗や、大切な人との別れ、あるいは病気など、耐え難い苦しみに直面することがあります。
そんな時、中村さんはこう言います。
人間が極限の苦しみから立ち直るには、どうしても時間が必要です、と。
私たちは、落ち込んでいる人を見ると、つい、早く元気になって、とか、前を向いて、なんて声をかけたくなります。
でも、安易な励ましは、かえって相手を追い詰めることがあるんです。
中村さんは、泣き叫びを放置して、思い切り心の膿を出させるほうがいい、と言っています。
辛い時は、無理に笑う必要はありません。
十分に悲しんで、涙を流し尽くして、心の毒を全部出し切る。
そのプロセスを経て初めて、人は本当の意味で再生できるんです。
二種類の人間

世の中にはいろんな人がいますが、中村さんの見方はとてもシンプルです。
世界には二種類の人間がいるだけです、と彼は言います。
それは、無欲に他人を思う人と、己の利益を図るのに心が曇った人、この二種類です。
ニュースを見れば、自分の保身や金儲けのために嘘をつく人たちの話題が絶えません。
また、私たちの身近なところでも、損得勘定だけで動く人と出くわすことがあります。
そんな時、私たちはつい、損をしたくない、と身構えてしまいがちです。
でも、ふと立ち止まって、自分自身の心に問いかけてみてください。
今の自分は、どちら側の人間だろうか、と。
無欲に誰かの幸せを願う心を持っているか、それとも、自分の利益だけで心が曇っていないか。
これは、私たちが人としてどう在るべきかを問う、鋭い問いかけです。
平和は力

平和、という言葉を聞くと、なんとなく、戦争がない状態、とか、争いがない穏やかな状態、をイメージするかもしれません。
でも、中村さんの考えはもっと能動的です。
平和は戦争以上に、積極的な力でなければならない、と言うんです。
ただ頭の中で、平和が大事だ、と唱えているだけでは、現実は変わりません。
これを私たちの日常に置き換えてみましょう。
たとえば、家庭や職場で雰囲気が悪い時、ただ黙っているだけでは解決しませんよね。
自分から挨拶をする、お茶を入れる、困っている人を手伝う。
そういった、具体的な行動こそが、平和を作る力なんです。
理屈を並べるのではなく、善意を行動に移すこと。
それが、争いを防ぐ一番の力になるんです。
命の尊さ

ここで、もっとも基本的で、そしてもっとも大切なことに立ち返りましょう。
それは、命の尊さこそ、普遍的な事実である、ということです。
どんなに意見が違っても、どんなに立場が違っても、生きている命の重さに変わりはありません。
中村さんは、理屈や思想の違いで対立する前に、まず、目の前の命を救うことを最優先しました。
私たちも、日々の生活の中で、つい相手の欠点や、自分との違いばかりに目が行ってしまうことがあります。
でも、相手も自分と同じように、たった一つの命を生きている存在なんだ、と認めること。
そこからしか、本当の対話は始まらないのかもしれません。
身の丈に合った技術

中村さんがアフガニスタンで作った用水路は、最新の重機やハイテク技術を駆使したものではありませんでした。
現地の農民たちが、自分たちの手で石を積み、自分たちの手で直せる、そんな身の丈に合った技術で作られています。
これは私たちの生活にも通じる話です。
便利だからといって、使いこなせない最新の機械や、複雑すぎるシステムに依存しすぎていないでしょうか。
もし壊れた時に、自分の手ではどうにもできないものばかりに囲まれていると、いざという時に脆くなってしまいます。
自分たちの手で維持できる暮らし、自分たちで守れる技術。
それが、本当の意味での自立と、永続的な安心につながるんです。
認知の限界

私たちは普段、自分の見ている世界が正しいと信じて疑いません。
でも中村さんは、人は見ようとするものしか見えない、と指摘します。
たとえば、苦手な人がいると、その人の悪いところばかりが目について、良いところが見えなくなることはありませんか。
あるいは、インターネットで自分の考えと同じ意見ばかりを探して、安心していないでしょうか。
人間は、自分の都合のいいように世界を切り取って見てしまう生き物なんです。
だからこそ、自分は偏った見方をしているかもしれない、自分の正義は絶対ではないかもしれない、と、常に自分を疑う視点を持つことが大切です。
それが、独りよがりな考えから抜け出す第一歩になります。
権利と倫理

最近は、私の権利です、とか、それは平等の原則に反します、といった主張をよく耳にします。
もちろん、権利や平等を主張することは悪いことではありません。
でも、そればかりが先行して、何か大切なものが置き去りにされていないでしょうか。
中村さんは、権利以前に存在する、人としての倫理、を信じると言っています。
法律で決まっているからやる、ルールだから守る、という以前に、人としてやってはいけないこと、人として恥ずかしくない生き方があるはずです。
損得や法律を超えたところにある、お天道様が見ている、というような感覚。
そんな、善悪を超える神聖な倫理観を、私たちはもう一度思い出す必要があるのかもしれません。
信頼

人間関係において、もっとも大切なのが信頼です。
でも、信頼は一朝一夕には築けません。
中村さんは、利害を超え、忍耐を重ね、裏切られても裏切り返さない誠実さこそが、人々の心に触れる、と言っています。
これは本当に難しいことです。
普通は、裏切られたら腹が立ちますし、やり返したくもなります。
でも、そこでじっと堪えて、誠実であり続けること。
それができた時、初めて相手の心を動かし、武器よりも強い安全を手に入れることができるんです。
敵を作らないことこそが、最強の防御なんですね。
これは、国際情勢だけでなく、ご近所付き合いや職場の人間関係でも、まったく同じことが言えるのではないでしょうか。
自然と人

中村さんの活動は、常に自然と共にありました。
彼は、人も自然の一部である、と語ります。
私たちはつい、人間が自然をコントロールできる、科学技術で何でも解決できる、と錯覚しがちです。
でも、地震や台風、そして老いや病気など、人間の力ではどうにもならないことが必ずあります。
自然を支配しようとするのではなく、自然と折り合いをつけ、自然の摂理に従って生きる。
人間同士も、対立するのではなく、和解を探る。
それ以外に、私たちが豊かに生き延びる道はないのです。
【おすすめ本】天、共に在り アフガニスタン三十年の闘い
本の概要
「困っている人がいれば、できることをする」
その一心で、一人の日本人医師がアフガニスタンの荒れ果てた大地に1600本の井戸を掘り、25キロを超える用水路を築きました。
医療の枠を超えて動き続けた中村哲の半生は、「自分に何ができるか」をあなた自身に静かに問いかけてきます。
難しい理屈ではなく、行動で示し続けた人間の記録です。
本の口コミ

素晴らしい偉業を成した尊敬する人。世界の、医療従事者を目指す人や既に第一線で活躍している人の全てに中村哲氏を知って欲しい。

「戦場に身をさらした兵士なら発砲しない方が勇気の要ることを知っている」「利害を超え忍耐を重ね裏切られても裏切り返さない誠実さこそが人々の心に触れる」この本の最終章には考えさせられました。

医師としてアフガニスタンに赴任した中村哲先生が、治療だけでなく用水路づくりまで手がけた活動の記録なんだなぁ。危険な環境でも現地の人々に寄り添い、「何が本当に必要か」を考えて医師の枠を超えて行動し続けた姿には、心から感銘を受けたなぁ。言葉より行動で信頼を築いたその生き方は、人としてどう在るべきかを深く考えさせてくれる一冊で、ぜひ多くの人に読んでほしいなぁ。
まとめ

最後に、中村さんのこの言葉で締めくくりたいと思います。
和解こそが生きる道。
それが、まっとうな文明だと信じている。
いかがでしたでしょうか。
孤独や不安を感じやすい現代ですが、自分だけの殻に閉じこもらず、他者や自然と関わりながら、誠実に生きる。
そんな、シンプルだけど力強い生き方が、あなたの心を少しでも軽くしてくれたなら嬉しいです。
中村さんが見せてくれた、まっとうな生き方。
私たちも、できることから少しずつ、真似していきたいですね。
